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ニヤニヤがブランドのファンを生み出す!という話

こんにちは。青柳有美子と申します。
さまざまな専門性を打ち出す「ADK CREATIVE MALL」の中では、話題化やファンづくりを重視する「バイラル・エンターテインメント」をコンセプトに掲げるチームに所属しています。

肩書きはアートディレクターですが、CMプランナーでもあり、イラストレーターでもあり、絵本やエッセイを書くこともあったりしています。
最近は、キャラクター作家を名乗ることも多いです。
総合して、ニヤニヤしちゃうクリエイティブを作る人と申しましょうか(結局よくわからない)。

これだけ書き連ねるとナゾすぎる人物ですが、このnoteを最後までお付き合いいただけると、結局どんな人なのか、ちょっと分かっていただけるかもしれません。
どうぞよろしくお願いします。


ニヤニヤのパワーに気付いてしまった。

きっかけは、中学3年生のある日。
茶道部の友達から、「部員募集のポスターを描いて」と頼まれたのがはじまりでした。
控えめで気難しそうなイメージの茶道部は、例年新入部員がなかなか集まらないと悩んでいるようでした。

そこで、わたしが作ったのは「へっぴり腰でお茶を持っている加藤茶」さんを描いたポスター。

それは、茶道の侘び寂びや趣など完全に無視した、まったくしょうもないものだったのですが、当時中学生のわたしは、「茶」が「茶」を持っていればインパクトがあるし、地味でつまらなそうな茶道部の印象を楽しそうなイメージ変えられるだろうと、素人ながらに一生懸命考えたのだと思います。

しかし、わたしが通っていた学校は、礼節をモットーとしたいわゆるお嬢様学校と言われている厳しい女子校。
他の部の部員募集の真面目なポスターの中で、わたしの描いた「茶を持った茶」は、明らかに浮いていました。
しかし、これが張り出されるやいなや、わたしは衝撃を受けることに。

廊下をつまらなそうに歩いていた学生たちが立ち止まり、わたしが作ったカトちゃんのポス・・いや、茶道部のポスターをニヤニヤしながら指さし、友達同士で盛り上がっているではありませんか!!!

このポスターのおかげかどうかは不明ですが、茶道部を強く印象付けながら、明るく楽しいイメージになったのは間違いなかったようで、その年新入部員は例年より増加。先生たちは終始ニガムシ顔でしたが、依頼された友達からは感謝され、思わぬ成功を収めたのでした。

「自分のアイデアで人を笑顔にして、さらにそれが依頼側の役に立つとは・・・。なんて最高なんだ!!」

この経験で、「広告って面白いなぁ!」そう思ったのを覚えています。
今思えばこれが、わたしのニヤニヤクリエイティブ人生のはじまりだった気がします(どんなだ)。


おしゃれアートディレクターになるつもりが、気付けばキャラクター作家になってた。

そんなこんなで広告を作る人になろうと決心し、美術大学を無事卒業して、アートディレクターとしてADKに入社しました。
入社当時はおしゃれアートディレクター全盛期で、グラフィックデザイナーの憧れの的が広告に集まっていた時代。
わたしも、当時名だたる女性クリエイターたちに憧れ、「賞とかとって、業界誌で特集組まれちゃったりするんだ!」と鼻息荒く制作に勤しむ日々でした。
上司に企画力を買われ、入社当時からCMプランナーとしても担当することも多かったのですが、いつかはイケてるアートディレクターと呼ばれるようになるぞ!と意気込んでいました。

でも、ある日「わたしはそういうイケグラフィックデザイナー系ではない」と気付く時が来ます。
入社3年目、とある賃貸情報サービスのCMの中で、ダジャレを元に思いついた青いトラのキャラクターを作り、登場させるやいなや、これが思わぬ反響を呼んだのです。

彼はひとりでにファンを獲得し、CMを飛び出し、SNSのスタンプ、ぬいぐるみ、グッズ、ゲーム・・・とぐいぐい活躍のフィールドを広げていきました。
当のわたしは思わぬ展開にあっけに取られるばかりでしたが、同時に、わたしが思いついたアイデアで、クライアントさんも世の中も盛り上がっているのを感じて、とても嬉しかったのを覚えています。

当然ですが、広告は、人の心を動かすものでないと効果を発揮しません。
クリエイターは、それぞれ何を武器に人の心を動かすかが勝負ですが、
わたしにとっての1番の武器は、考え抜かれたグラフィックだとか、かっこいいデザインとかではなく、みんなでイタズラを共有しているような、なんかニヤニヤしちゃうアイデアだと、このキャラクターの反響の大きさで気が付いたのでした。
いや、我に返ったと言った方が正しいかもしれませんが・・・。

おかげさまで、それ以来わたしにはキャラクター開発の依頼が舞い込むようになりました。
そして気が付けば、“ADKのサンリオ”と光栄かつ恐れ多い呼ばれかたをされるほど、たくさんのキャラクターを作るクリエイターになっていたのでした。

考えるときは、紙と鉛筆でひたすらこんなふうに。
キャラクターのデザインと設定やストーリーは、だいたいセットで思いつくことが多いです。


なんだかんだ世の中、かわいくて面白いのが好き!

これまでたくさんのキャラクターをご提案してきた中で、常々実感していることがあります。
それは、むずかしい顔をしたおじさまも、エリート大卒のインテリジェンスな方も、誰もがみんな、

かわいくないものより、かわいいものが好き!
つまんないことより、面白いことが好き!
複雑なことより、簡単なほうが好き!

ということです。

なぜそう言えるかというと、キャラクターを目の前にすると、どんな方でも必ず目を輝かせ、いたずら好きの子供のような、ニヤニヤした笑顔になるのを何度も見てきたから。

そして、そのキャラクターから発せられる「ニヤニヤしちゃう謎のエネルギー」は、ブランドを介して世の中の人の心にもジワジワと同じ効果を発揮し、キャラクターを通していつの間にかブランド自体を好きにさせてしまうという不思議な現象を起こします。

わたしが作って世に放ったキャラクターが、まるで生きているかのようにひとりでにファンを増やし、ブランドと人々の心を結びつけている・・・。
彼らのその人々の懐にスッと入り込む、銀座のクラブのママのような働きぶりは、作者であるわたしまで感心するほどです。

キャラクターを味方にすることのメリットは、それだけではありません。
様々な商品、サービスがもたらすものについて、普通の広告だと硬く難しく感じることでも、キャラクターは柔らかく簡単にして伝えてくれます。

ヤクルトの疑問を、ヤクルトマンが体を張って教えてくれる動画シリーズ「おしえて!ヤクルトマン」。彼のひたむきに頑張る姿が気になり、ついつい最後まで見てしまうように構成していて、最終的にヤクルトのことを楽しく知ることができるようになっています。

キャラクターは、広告の顔をしていない、究極の広告だと言っても過言ではない。かもしれません。


ニヤニヤ事例:カレーみたいなナゾのネコ

ここで事例として、新作ホヤホヤのキャラクターをご紹介します。
カレーハウスCoCo壱番屋さんの「NeCo壱(ネコイチ)」です。
ココイチを、もっとファミリー層に身近に感じてもらいたい。
また、ひと目見て、「ココイチだ!」と分かる、みんなに愛されるキャラクターを育てたいというクライアントさんの想いを形にしたキャラクターです。
2023年6月、まさに今月デビューしました。

よろしく二ャッ!

ネコイチは、ココイチのカレーが大好きすぎて、カレーみたいな柄になっちゃったネコたち。
CoCo壱番町という街で、刺激的な毎日を送っています(カレーだけに)。
それぞれ推しのトッピングが頭の上に乗っているのが特徴です。
ココイチのトッピングは現在56種類ありますが、まずはこの5匹でデビュー。

頭の上にそれぞれの推しトッピングが乗っています。
性格もネコそれぞれ。

美味しさだけでなく、たくさんのトッピングがあることも伝えていきたいので、メニューの数だけぞくぞくと仲間が登場する予定(?!)です。

“カレーみたいなネコ”というなんかニヤニヤしてしまう彼らの存在は、きっとお店とお客様との会話のきっかけになるはず。
それはつまり、ココイチのカレーの美味しさや、お店の楽しさを伝えるきっかけになります。
また、キッズメニューやオマケなどで子供たちが彼らに触れることで、親子の会話の中で食の大切さを伝える良い機会にもなるかもしれません。

これからネコイチは、ココイチのSNSや店頭のPOP、ノベルティグッズなど多岐にわたって展開予定です。
たくさんのゆかいなストーリーを繰り広げながら、ブランドとお客さまの架け橋として、これから大いに活躍してくれることでしょう。
がんばれ、ネコイチ!!

ちなみに、我が家にもネコが2匹いて、そのうちの1匹は茶色と白なのですが、彼女が丸くなって寝ているのを「カレーみたいだなぁ・・・」と常々思っていたので、それをヒントにこのキャラクターを作りました。
アイデアは日常からヒントをもらうことがよくあります。

モデルになった我が家のカレー猫(右)。
家中のケーブルを食いちぎるのが趣味。

あと、キャラクターのネーミングには、そのブランドならではのアイコン的存在なるよう、ブランドの“名称”や“特徴”、“想い”などを必ず組み込むようにしています。と、かっこいい言い方しちゃいましたが、つまりだいたい、ダジャレです。


気の合う友達と過ごす、豊かな時間のように。

ニヤニヤクリエイティブは、いわゆる世間で言われる広告のように、時間を「奪われる」感覚はありません。
一方的に発信されたものをただ受け取るのではなく、
その時間を自然の流れで「一緒に楽しむ」ことができます。
そして、なにやら一緒に楽しく過ごしているうちに、いつの間にかそのブランドや商品、サービスと仲良くなっていく。
その時間は、まるで気の合う友達と過ごしているかのようです。
そして、大好きな友達との結びつきが簡単には解けないのと同じで、その効果に終わりはありません

このように人の心とブランドを握手させることができるのは、もちろんキャラクターに限ったことではなく、動画でも、言葉でも、はたまた歌やダンスでも何でもよくて、方法はいくらだってあります。
ただそこに、心を動かされるようなワクワクする体験があればよいのです。

そのようなファンクリエイティブこそが、わたしが思うバイラル・エンターテインメントであり、今求められている新しい広告の形なのではと感じています。


もっと一緒に、ニヤニヤしたい!

わたしは、これまで誰かにはっきりと説明できるようなメソッドをあまり意識したことがなかったので、このnoteも「書けることがあるのか?!」と不安なまま書き始めてしまったのですが、

ただひとつはっきりと言えるのは、自分のアイデアで、誰しもが内に秘めてる子供のような遊び心を引き出したい。笑顔になってほしい。
そしてそのニヤニヤが、人や社会の役に立つものになってほしい。
単純ですが、この気持ちだけでこれまでやってきたということです。
わたしのクリエイティブに対しての気持ちは、冒頭の、茶道部のポスターを作った時のまんま。
そしてこれは、死ぬまでそうなんだろうなと思います。

だって世の中みんながニヤニヤして、笑って、それを共有できたら。
そしてそれがブランドと人、社会と人との架け橋になったら、めちゃくちゃハッピーじゃないですか!


そのエネルギーは、キャラクター開発だけでなく、CM、動画の企画や、絵本や、漫画や、育児エッセイなど、広告の枠を飛び越えて、いろんなところで爆発させています。

『せんせい、うちのコがタイヘンです。』(ゆままま 著 / G.B.)
つらい育児もニヤニヤに変換!娘が繰り広げる味わい深い出来事を、保育園の日誌にひとコマ漫画として描き、Instagramに毎日投稿。それが1冊の本になり出版されました。

これからも、わたし自身もニヤニヤしながら、このまんまの気持ちで、
いろんなところでたくさんの人をニヤニヤで繋げていきたいと思います。
そしてもし良かったら、あなたも一緒にニヤニヤしましょう!

ADK CREATIVE MALL 特設サイトはこちら

青柳 有美子 Aoyagi Yumiko

アートディレクター、プランナー、イラストレーター。2児の母。

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