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K(コトバで)P(パッと)I(イケる道すじ) クリエイティブ

私、ADKクリエイティブ・ワン、入社4年目の吉川翼と申します。KPIコミットメントクリエイティブというコンセプトを掲げたチームに所属しています。

KPIコミットメントクリエイティブと聞くと、なんかデータデータしていて、数字ばかり見てニヤついてそう。そんなイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、わたしのチームの定義では「KPI=目的の明確化」。
例えば、飲食関係のクライアントであれば「来店促進」、食品関係であれば「小売店の棚の獲得」など、クライアントの課題を解決するためのゴールを意味しています。目的達成にとことんこだわる、だからこそ表現は人一倍チャーミングに面白く!そんなクリエイティブをめざすチームであります。

さて、私のような若輩者が、チームの代表として何か語れるようなことがあるのか…。KPIコミットメントとコピーライターをどう結び付けられるのか?そんな不安を抱えながらも、このクリエイティブ・ノートのタスキを受け取ってしまいましたので、なんとかつないでいこうと思います。

そう、あれは4年前…。クリエイティブに配属となった初日、本部長から「CMプランナーとコピーライターどっちがいい?」と聞かれ、とくに文才もなかった私は「CMプランナーがいいです!」と答えました。

すると、「君は、コピーライターだ!コトバが弱そうだから修行だ!すべての企画は言葉でできている!じゃあ、よろしく!」と言われたのがキャリアの始まりでした。(じゃあ、どっちがいい?って聞かないでよ)
しかし、ある仕事との出会いが私のコピーライターの概念を大きく変えてくれました。そんな気づきとチャンスを与えてくれた案件、弊社の新人育成制度「成長株育成PROJECT」について、お話ししようと思います。

コピーライターだったよね?あれ?


コピー、コピー、コピー。また明日も、コピーの1000本ノック。実務を通じて新人教育を行うOJT担当者でもあり、コピーライターの先輩でもあるH先輩のもと、みっちりコピー漬けの日々。
入社してから半年ほど経ったころでしょうか。なぜか人事の担当者から、H先輩と私に仕事の相談がありました。社内からの仕事は、もちろん初めてです。

「社内のOJT担当者が、積極的に新人育成をしたくなるアイデアを考えてほしい。」
 
コピー漬けの日々を送っていた私には、コピーを書くくらいのことしかできません。というか、そのコピーすらまともに書けないのに、なぜ私が「新人育成をしたくなるアイデアを」?
これが、霧の中をさまよい続ける地獄の始まりだったのです。

図1

ひよっこの吉川翼。
親というかH先輩についていくだけで、必死!

前例ないじゃん!どこもやってないじゃん!


とはいえ、仕事は仕事です。まずは、参考になる事例がないか調べてみました。すると、人事関連の施策でも、採用に関係する事例はあるものの、人材育成となるとどこの企業もノータッチ。あっても1on1ミーティングとか、複数メンター制度とか。
どうすりゃいいんだ…。目の前は霧。どっちに進めばいいかもわからない。くじけそうになりながらも「自分が先駆者となるチャンスだ!」などと、無理やり鼓舞しながら、H先輩と私でアイデアを考えていきました。

●昔の自分に似た新人は可愛いし、放っておけないのではないか。
→OJT担当者自身の過去のエントリーシートを活用してペアを決める「昔のジブンマッチング」

●OJT担当者が「コイツを育てたい!」と自ら指名できれば、より育成へのモチベーションが上がるのでは?→「育成新人ドラフト会議」

●ADKのIPコンテンツを生かして、もっとも新人を成長させたOJT担当者に賞金を与える「新人育成王にオレはなる!プロジェクト」

どれもOJT担当者のモチベーションが高まる設計になっている!これならいける!自信満々に依頼主である人事担当者にプレゼンしました。

しかし、担当者の壁は厚かった。

「相性がいいからといって必ずしもいい結果になるとは限らないです。むしろ正反対のスキルの方が成長につながる新人もいると思うのですが、吉川さん。いかがでしょうか」

霧はさらに濃くなりました。

図2

まだまだ、飛べない翼・・
そう簡単には、飛ばしてくれねぇか。

名誉職なのにハズレくじというジレンマ!?


そもそも私はOJTを担当したことがない。それに比べて、H先輩は私のOJT担当者なのだから、今回の課題の本質がわかるはずだ。すると、H先輩がこんな本音が次々と出てきたのです。

「OJTは仕事だけど、ほぼボランティアに近い状態になっている。」

「自分の評価に反映されにくく、手当てもない。」

「最近は働き方改革で、残業時間が特に厳しい。
新人に仕事を手とり足とり教えて、毎日、日報をチェックして、ビジネス  
マナーから教えるとなると、自分の業務との両立がますます難しい。」

「どう指導するのか具体的なマニュアルや事例もないので、割と手探り状態。」

…私のOJT担当者でもあるH先輩の本音純度100%フルパワーの声が湧いて湧いて湧きまくるにつれ、私は気まずさを感じながらも、それと引き換えにようやく課題の本質が姿をあらわし始めた感覚がありました。

OJT担当者は新人を任せられる、手本になってほしいエース人材の証にも関わらず、むしろ負担が増えるだけのハズレくじになっていたのです。

H先輩の不満そのものが、会社にみえていない。つまり、OJT担当者の取り組みや育成・成長の成果をしっかり「見える化」すること、「評価する」ことが必要なのではないか。

目の前の霧がスッと晴れました。
目的が明確化でき、向かう方向がみえたのです。

図3

H先輩!なんかオレ、羽ばたけそうです!  

大きなカブが抜けたぞ!!


しかし、担当者に「OJT担当者の取り組みや育成・成長の成果をしっかり見える化することです!」とプレゼンしても、なにも面白くありませんし、そもそもコピーになっていません。クリエイティブじゃない!

何かニュースになりそうなネタはないかなと探していると
「あ、そういえばADKってちょうどTOBで株とか話題になっていたなぁ。何か株でできないかな・・。待てよ。株=企業の成長の見える化だ。これ人に当てはめたらどうなるんだろ?」

そこで、次の打ち合わせに「株式育成」というワードを持っていきました。

すると「これから伸びる人のことを『成長株』っていうし、株と新人って意外と相性いいかも」と打ち合わせの場でも手応えがあり・・

株、イケるぞ!!

新人の成長を見える化する「有価証券報告書」ならぬ「成長株報告書」。新人の成長は会社の未来だから、役員と成果を共有できる場を作る「成長株主総会」。
育てた成果は2年目以降にも現れるので、2年目からの成長もOJT担当者の成果として還元する「成長株配当」。などなど。
株という言葉を軸に施策が広がりだし、急に打ち合わせが楽しくなってきました。まさに大きな株、いや、大きな「カブ」が抜けたような快感です!

図4

なんだこの景色は!
これがコピーライターズ・ハイか!?

こうして、ようやく完成した「成長株育成PROJECT」

図6

新人ひとりひとりを将来性のある「成長株」に見立て、育成に対する成果を見える化し、1年を通じてOJT担当者と新人の2人がともに成長できる仕組みを開発しました。

新人にこの1年で「どんなADK社員になってほしいのか」、そのために「何を経験させて」「何を学んでもらうのか」。OJT担当者に任命された人はまず、人事担当者と育成のゴールとプロセスを設定・共有してもらう『成長株育成計画書』から始まります。
半年かけて試行錯誤しながら育成に励んでもらい、その成果を「成長株報告書」でレポートにし、きちんと見える化。報告書には新人の成長点と課題点が事細かく記載されており、指導方法などのPDCAを回すことで、新人だけでなくOJT担当者自身の成長にもつなげられる仕組みに。
1年の最後は、役員を前に新人が自分の成長の成果を自由にプレゼンテーションする『成長株主総会』で、集大成を披露。人材育成は、会社の未来にも直結するものなので、経営層を巻き込み「会社ゴト化」し、よりOJT担当者の貢献に関心や注目が集まるようにしました。

特に「成長株主総会」では人事担当の役員から「新人が育っているのも嬉しいが、これだけ一生懸命、新人を育てている社員がいるという事実が何より嬉しい。」というお褒めの言葉をいただきました。まさに、「活躍の見える化」です。

残念ながら「成長株配当」は途中で廃止になったものの、
改善をしながら今年で3年目を迎えるほどのプロジェクトに
成長しました。

※ちなみに、あるコンサルティング会社が調べたところによると、出世する人は学歴や親の年収・家庭環境など関係なく「入社して1番最初についた上司が優秀かどうか」で決まるそうです。 大事なんですOJT。

コミュニケーションの
ど真ん中のコトバこそ、
KPIになっていく。


広告づくりの過程で最も大切なのは「目的の明確化」です。H先輩と私が霧の中から無事生還できたのも、この明確化のおかげです。そして、強い旗印となるコトバ。今回の例でいう「成長株」。誰からも見える大きく強い旗があるから、メンバーが同じ方向に向かっていけるのです。さらに目的がブレることなく、横展開もしやすくなる。

コトバにはコミュニケーションを設計・実装させていく力があります。まさに「成長株」というコトバを引っこ抜いてみたら、面白いくらいどんどん色んなカブが抜けていったように。
また、H先輩と最初の頃に考えていたドラフト制やマッチングの企画のように、キャンペーンの外枠、つまり仕組みから考えていくとどうしても既視感が出たり、それ以上の展開にはなりにくいものです。
その点、コトバからコミュニケーションを設定していくことは、いい意味で無茶ぶりとなり、「成長株主総会」など思わぬ大きな収穫を得ることができます。

媒体ありきではない自由度の高い解決が求められる今の時代だからこそ、まずはコトバから設定していく「コピーライター式のコミュニケーションプランニング」は非常に有効です。

KPIコミットメント
=目標達成のための、目的の明確化と強いコトバ

どれだけ技術が進歩しても、目的が多様化しても、その中心にあるのはコトバです。目的を明確に、そしてブラさないように。プロジェクトをゴールまで導いてくれる、大きな旗印をつくる。これが、KPIコミットメントクリエイティブのコピーライターである私の仕事です。
ぜひ、企画づくりはもちろん、広告の目的づくりから、ガンガンお声がけください!「これって、コピーライターいるのかな?」という案件でも、物は試しに呼んでみてください!笑
弊社の人事担当者がそうであったように。

以上、永遠の成長株でありたい(でも、きょうも霧の中いる)
吉川翼でした。

図5

ヤバい、次の打ち合わせにコピー全然足りねぇ!


ADK CREATIVE MALL 特設サイトはこちら

コピーライター
吉川翼/TSUBASA YOSHIKAWA

FINのコピー

JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール メダリスト/
日経MJ広告賞 最優秀賞/BtoB広告賞/産業技術広告賞 他

「KPI COMMITMENT」を掲げるチームに所属し、明確化された目的に対するゴールづくりとして、ブレずに企画を扇動する大旗コピーの開発を心がけている。

成長株育成PROJECTの他にも、ADKグループ全体の採用コンセプトの開発や新卒採用、クリエイティブ採用の企画も担当。ときどき自分がクリエイティブの人間なのか、人事の人間なのかわからなくなるときがある。


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