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C方向にしかならなかった僕の企画が、いつの間にやらA方向になっていたお話

 TVCMやキャンペーンを複数案提案するとき、その各案はA方向、B方向、C方向とアルファベットでラベリングされていく。もちろんそこには提案者のオススメ順が存在し、ほとんどの場合、A方向から順に有力案として提案されるのである。そしてこの話は、かつてどんなに趣向を凝らして案出しをしても、C方向としてしか提案してもらえなかった僕の企画が、いつの間にやらA方向の本命として提案されるようになった。そんな結果オーライなお話です。

申し遅れました。クリエイティブ・ディレクター兼プランナーの武田正文と申します。歴史あるクリエイティブ・エージェンシーにてCMプランナーを経験後、インタラクティブ広告制作会社で企画演出に携わり、5年ほど前に現在のADKグループへやってまいりました。マスクリエイティブからデジタルプロモーションまで、あまり垣根にこだわらずに、日々企画を楽しんでいます。

C方向にしかならなかった若かりし頃の思考

 新しいものは説明しづらい。まさにそういうことだったんだと今では思います。20代当時、まだ駆け出しのCMプランナーだった僕は「まだ世の中にない表現を生み出そう」という意識が異常なまでに強く、表現の新しさにこだわりすぎていました。それ故に、そのこだわりの末にひねり出されたCM案はCDの先輩たちから見たら、どれもどこかシュールに、時には複雑に映ってしまい「こんなもん、どうやってお客さんに説明すれば…」となってしまっていたのです。企画が採用される確率を、よく野球の打率に例えて言ったりしますが、当時の僕はものすごい低打率で、あれでよくクビにならなかったなとつくづく思います。

そしてその頃、企画が採用されないあまり、僕がストレス発散がてら空き時間に描いたアニメーション動画がこちらです。このネコとパンダの戦いは、なんとも奇妙な展開をしていきます。(音声が権利上使用できないため静止画の連番で失礼します)

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お見せするのもとても恥ずかしいのですが、いかに自分が新しさへの妙なこだわりを企画に持ち込んでいたかがよくわかるかと思います。こんな表現のトライアルのようなことを、ずっと繰り返していました。そしてそのこだわりは、2000年代中頃の広告の世界では、いかに商品の魅力がうまく伝えていようがとても説明のしにくい「?」なものであり、決して最有力のA方向にはなり得なかったんだと思います。
ところが、この映像を当時ニコニコ動画が主催する映像コンペティションに出品したところ賞を獲得。アイデアの新しさへのこだわりがネットの世界では評価されることがわかったはじめての経験でした。次第にこのコンテンツの純粋な新しさや面白さで評価されるネット世界で勝負がしてみたい思いが募り、当時マス広告主体だったクリエイティブ・エージェンシーからインタラクティブ広告のプランニングができる会社へ、移籍を決断しました。

時代の潮目が変わり、C方向が求められる時代に

 その移籍にまるで時代が合わせてくれるかのように、SNSやYouTubeが瞬く間に普及。広告にも映画、ドラマ、マンガと同様に1コンテンツとして純粋にそれが見たいか、話題にしたくなるか、が問われる時代が到来します。メッセージの強さだけじゃなく、ターゲットが振り向いてくれそうな面白さや話題性に富んだ案が本命として提案されるようになりました。かつてはC方向にしかなり得なかった僕のこだわりは、提案に必要な当たり前のものになっていったのです。経験を積んだことで企画構成力が身についたというのももちろんありますが、特に自分の意識を変えたわけではなく、その思考回路が自然と世の中に必要とされ、本命のA案として提案されるようになった。そんな感覚がありました。結果オーライですが、若かりし頃どんなに企画が採用されなくても、こだわりを捨てずに貫いてきてよかったなと思います。

“コンテンツ企画力”で、顧客をブランドに振り向かせる

 僕が長きに渡り磨き続けていたそれは、言うならば“コンテンツ企画力”。「広告を、映画やドラマ、他のエンターテインメントと競争する1コンテンツと捉え、それらと勝負しても遜色なく人を惹きつけるパワーのあるものでなければならない」という意識です。もちろん商品を売ったり、好きになってもらうという課題解決を目指しながら取り組む分、産みの苦しみはありますが、せっかくお客様がお金を投資して作ったものに誰も振り向いてくれなかった時の恐怖に比べたらどうってことありません。

そして今、僕はADKグループに身を置き、その意識をのびのび実践しています。

例えば、1企業が手がける多様なサービスを社員がそのサービスになりきって出勤する姿を描いたムービーで、注目度や好感度アップに貢献させていただいたり。

◆エイチーム/企業ムービー

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自身の子供時代の体験を掘り起こしたあるあるムービーで視聴者の共感を獲得したり。少年漫画のプロモーションを真逆の少女漫画テイストで行い、SNSでツッコまれるようなキャンペーンを仕掛けたり。さらには、広告の枠を越えて商品やサービス自体のネーミングやコンセプト開発から携われる機会までいただくようになりました。かつてはC方向にしかならず悶々としていた新しさや面白さへのこだわりが、広告を1コンテンツとして見たいか/見たくないかで選べる時代になった今、人をブランドに振り向かせる強力なトリガーになっていったのです。

ただでさえ時代に恵まれて水を得た魚になった僕ですが、幸運なことにいま身を置く環境にまで恵まれています。所属するチームが戦略コンセプトとして掲げる看板はBRAND ENGAGEMENT。「そのブランドにしか提供できない体験をニュートラルに考え、顧客とのエンゲージメントを強くする」というもの。今の時代にブランドが「顧客とのエンゲージメントを強く」していくためには、まさにターゲットをブランドに振り向かせるコンテンツとしての求心力=“コンテンツ企画力”が求められます。ここで自分の長所を存分に発揮できるやりがいを感じながら、どんな広告(コンテンツ)を世に送り出せばそのブランドが好きになってもらえるか、を日々考えています。

顧客をブランドに振り向かせたい。ファンを作りたい。でも、何をすればいいのかわからない。そんな時はぜひご相談ください。1コンテンツとしての面白さや話題性に人一倍こだわる男が、そのブランドが気になる、話題にしたくなるコミュニケーションを企画させていただきます。

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クリエイティブ・ディレクター/プランナー
武田正文 Masafumi Takeda


ムービーも、デジタル施策も、SNSでの話題作りも、PRも、コピーも、ネーミングも。デザイン以外は、なんでも自分でやってみようというスタンスで働いています。実際に一人でキャンペーンをやりきることも多々。

《AWARDS》コードアワード ベストエフェクティブ/Yahoo! JAPAN インターネット クリエイティブアワード 特別賞/毎日広告デザイン賞 /文化庁メディア芸術祭 審査委員推薦作品/ブレーン上半期デジタル広告グランプリ 第1位

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