ADKクリエイティブ・ノート
今時普通すぎる?あえて「DESIGN & BRANDING」というシンプルなコンセプトを掲げた話
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今時普通すぎる?あえて「DESIGN & BRANDING」というシンプルなコンセプトを掲げた話

ADKクリエイティブ・ノート

「漫画家になりたい」
小学生時代の夢でした。
とにかく絵を描くことが好きで、教科書、ノートの空きスペースには絵がびっしり。分厚めの教科書の角には必ずパラパラ漫画。自宅では大量の白い紙を買ってもらい、暇さえあれば絵の練習をしていました。最初は人気漫画の模倣から入り、徐々にオリジナルの漫画を描いてみようと挑む。でも、いざ漫画を描こうと思うと、最初の導入部分のストーリーを描くのが面倒くさい…、早くバトルシーンを描きたい…。なので毎回開始2ページ目から謎にいきなりバトルが始まる。数ページでお蔵入りした創作漫画は山のようにありました。笑

一方、ずっと絵を描いていた学生時代だったかというとそうではなく、小学1年からサッカーもやっていました。小中高とがっつりサッカー。高校時代は関東大会までいきました。1年間で完全オフの日は片手に収まるくらいの日数しかなく、本当にサッカー漬けの毎日でした。でも絵は好きだったので合間で絵は描き続けていて。当然美術の授業が一番好きで、課題には超本気で取り組んでいました。美術部の女子たちに、「あの人サッカー部なのに、なんなの!?」と影で異様に対抗心を燃やされていたらしいです。笑
 

という、業界でも割と珍しいタイプ(?)のがっつり体育会系なアートディレクター/クリエイティブディレクターの塚本と申します。結局やはり漫画家には向いていなかったようで、今は広告のクリエイターとして日々精進させてもらっています。
今年からADK CREATIVE MALL内で「DESIGN & BRANDING」のコンセプトを掲げた新チームを運営しています。アートディレクター出身のクリエイティブディレクター、アートディレクター、有望な若手デザイナーが多く在籍する戦略的なチームとなっています。
 
 

コンセプトはシンプルにしたい!
「DESIGN & BRANDING」に込めた意図。


「DESIGN & BRANDINGって昔からある言葉だし、ちょっと普通すぎない?」と、実はチームのコンセプトを決める打合せで上の方たちからNGが出かけていました。でも僕が最近いろんな仕事をしている中で、「コミュニケーションは多様化しているけど、結局そのコミュニケーションたちを一つにまとめるデザインの力は必ず必要。デザインの力でブランディングしていくことは昔も今もこれからも絶対に普遍」だと強く感じていたので、わがままを言ってこのコンセプトのままにさせてもらいました。あえてこのシンプルで普遍的な王道のコンセプトにし、そこで真正面から勝負する(逃げられない)チームにしたい、という意志もありました。このコンセプトを掲げていて「デザイン全然ダメじゃん」と思われたら相当恥ずかしいですからね。そうならないように自分へ常にプレッシャーをかける意味も込めています。
 
 
 

「ブランディング」の定義はひとそれぞれ?


「ブランディング」という言葉は昔からよく使われていますし、名だたる先輩クリエイターの方々もこの言葉についての定義、信条みたいなものをそれぞれみなさんお持ちだと思います。ですので、僕ごときが今更偉そうに語るつもりは全くなく、、、あくまでも最近自分が思う「デザインとブランディング」について少し書かせていただければと思っています。


ブランディングと聞くと、ロゴのデザインから、ツール系まで全てをゼロから作り上げていく、という大掛かりなものをイメージする人も多いと思いますが、今の時代なかなかそこまで大掛かりなブランディングの仕事というのはそうそうないと思っています。もちろん、「できればロゴから全て作らせてほしいのに、、、」と思うことは多々ありますが、当たり前ですがロゴを変えることは企業としては一大事であり、費用も時間も莫大にかかります。そういった仕事に携われる機会というのは、普通に広告会社の一社員として働いている限りはなかなかないのが実情だと思います。
 
でも、そこまで大掛かりでなくても、ブランディングはいくらでもしていけると僕は思っています。デザイン&ブランディングと聞くと、前述したロゴデザイン等の表層的な“側(ガワ)”のデザインをする、グラフィックデザイン的な領域の話と捉える人も多いと思いますが、僕はもうちょっと広義な意味で捉えています。一番大切にしていることは、側のデザインだけではなく、そのブランドor企業の“世界観”(=受け手にどういう印象を持ってもらいたいか)をしっかりと作ってあげることだと思っています。
※企業姿勢を示すアクションを起こしていく、といったアプローチのブランディングも今では非常に重要だと思いますが、そっち系の話は一旦置いておきます。
 

例えば、映像のトンマナひとつとっても、映画のような重厚なトーンなのか、カラッとしたライトなトーンなのか、どちらの世界観にするか。そこもしっかり「デザインする」。メッセージやコピーワークに関しても、短く一言でキャッチーに言うのか、語りかけるように優しく言うのか。それらもしっかり「デザインする」。WEBサイト全体の印象として、色面を効果的に使ってアクティブに見せるのか、白地を活かしてすっきり清潔に見せるのか…などなど、そういった細かな「デザイン」の積み重ねで、そのブランドor企業の“世界観”は出来上がっていき、その世界観次第でその広告コミュニケーションに触れた時に人々に与える印象は大きく変わると思っています。たとえその広告に触れる場所が小さなスマホの画面内だったとしても。
なので必ずしも大掛かりに全てをゼロから作らなくても、そのような丁寧で緻密な世界観作りこそがブランディングにつながっていくと思っています。ちょっと体育会系根性論っぽくなりますが、そういったあらゆる部分の「デザイン」に込めた作り手の魂みたいなものは、露出するメディアの種類、大小等に関わらず必ず見る人には伝わる、と信じています。

そして理想は、そのクリエイティブアイデアのキーになるシンボル、アイコンを創り出してあげること。それで全てのコミュニケーション、世界観を括る。そこもしっかり「デザイン」してあげることができれば、ブランディングとしてはかなり機能する!と自分なりには考えています。


事例
「ACC 日本のクリエイティビティ 2021」
ブックデザイン


一つ事例のご紹介です。「ACC 日本のクリエイティビティ 2021」のブックデザインの仕事です。
ただ先にお伝えしておくと、この仕事は別にACCさん側から「ACCのブランディングをしてほしい」と頼まれたわけでもなんでもなく、普通にACC年鑑の表紙、中扉のブックデザインをして欲しい、といういわゆる“側のデザイン”のご依頼でした。
でも、スタッフたちといろいろ企画を考えていく中で、当然他の過去の年鑑のデザインも片っ端から見ていったのですが「ADC年鑑やTCC年鑑とは違うACCらしさってなんなのだろう」「どうせならACCらしさが表現されている企画にしたい」と思いはじめ、そんなACCの“ブランディング”も兼ねた一冊にしたいなーと自分の中で勝手に決めました。笑


ACCらしさとは?

ADCやTCCには会員が存在します。そのことから「限られた一流クリエイター会員たちが選ぶ日本広告業界最高峰の賞」というイメージがある人も多いと思います。一方ACCには個人クリエイター会員は存在しません。またACC年鑑は、一昨年からタイトルを「日本のクリエイティビティ」に変更しています。そのことからACCを「TVCMの賞」というだけでなくより広義な、日本中のあらゆるクリエイティビティのアワードにしたい、というACC側の意志が感じられました。それらのことから、「ACCらしさとは、ある種のポピュラリティー(大衆性)みたいなことなのでは」と、まず思いました。

またオリエン時にACCの方が「個人的には2021年の時代を捉えたようなものにできるといいなと思っています」とおっしゃっていたのですが、確かにそれができたら良いなと。(過去の年鑑でも「その年」をわかりやすく表現した企画というのは意外とほとんどなかったので。)それこそがACCのポピュラリティーにつながるのでは、と思いました。

そんなことを悶々と考えている最中に、フィルム部門のグランプリが決定し、それを見た瞬間自分の中でやるべきことが決まりました。やはり2021年の日本(大衆性)を捉えようと思った時に「コロナ」は避けて通れない。この特別な一年を、もがきながら闘い続けたのは、クリエイターも同じだったよな、と。そんな頑張り続けた日本中の全クリエイターたちに敬意を込めた年鑑にしたい。卒業アルバムのように、10年後、20年後でもこの年鑑を見た時にこの特別な一年をすぐに思い出せる、「ちょっと泣けるACC年鑑」というコンセプトでつくろうと決めました。

実際にACC様へご提案した企画書の抜粋

アウトプットのデザインに関していうと、“側のデザイン”で勝負しても、過去の年鑑を手掛けられているようなスーパーADたちの作品には到底勝てない。なので単純な側のデザインではなく、一冊を通してメッセージ性・企画性がある(一冊全ての扉を見たくなるような)そんなコンセプチュアルな年鑑にしようと思いました。かっこいいデザイン、ユニークなデザイン系は過去の年鑑でたくさんあったので、あまり今までなかった“世界観”の年鑑にしたいなと思ったのです。

2021年の空気感を残しておきたいと思ったので、まず写真を主役にしようと決めました。そしてそこにより“共感”を足すために言葉も添えました。表紙の一枚目から最後の扉まで言葉がつながっていく、というつい最後まで扉を見てみたくなる流れにし、一冊を通してひとつのメッセージがみえてくる作品にしました。
また2021年は東京オリンピックイヤーでもあった年で、コロナとの闘い含め“日本が一つになった年”ということも表現したいと思い、白地をベースに日本を想起させるシンボリックな赤い球体をデザインのアクセントとして入れました。

コロナ禍のクリエイターの姿、というセンシティブなテーマでもあったのでデザインは遊ばず、主張しすぎず、ただただ誠実なデザインになることを心がけて作りました。個人的にはACCらしい、2021年を捉えた一冊に仕上がったのではと思っています。

2021年の空気感を捉えた写真を主役に
表紙から最後の扉までコピーが続いていき、ひとつのメッセージになる
小ネタですが巻末のADK CREATIVE MALLの広告も同じフォーマット&企画で出稿しています


ACCのブックデザインの仕事は、少し特殊な仕事ではありましたが、日頃の実務でも同じようなアプローチ、考え方で仕事に取り組んでいます。課題に対しての解決方法をロジカルに整理してビジュアル化していくことがとても好きです。 



 自主制作が嫌いだった


最後に余談ですが、昔から自主制作が苦手でした。20代の頃はよくいろんな先輩に「ADなら自主制作ガンガンやって、賞に応募しろ!」と言われていました。でもどうしてもやる気になれなかった…。その場では「そうですよねー」と応えつつ、実際ほぼやったことはありません。

そういったデザインの賞は当然ながら斬新なデザイン、とがったデザインじゃない限りほぼ賞は獲れません。でも、自分にそんなアーティスティックな才能なんてないと思っていました。(それは今でも)
自分はアーティストではなく、“課題を解決する”あくまで裏方の広告クリエイターの仕事が好きなだけだったので、自己主張を頑張らないといけない自主制作に対しては全くモチベーションが上がらなかったんです。“リアルな課題”がないと燃えない、根っからの広告クリエイター気質の人間だと自分では思っています。
※なぜ最後にこんなことを書いたかと言いますと、デザインにこだわっているチームというと、「自己満の自分がつくりたいアーティスティックなデザインをゴリ押ししてきて、言うこと聞かない系のクリエイターなんじゃないの?」と思われる方も結構いるかと思うのですが、全く違うタイプの人間(むしろ真逆)だと一言お伝えしておきたかっただけです。笑

(これを書いていてふと思い出したのですが、そういえばサッカー部時代も自主練の類は一切やらなかったなーと、、。チーム練習と試合のみ超集中してやる!というタイプだったので、単純に元々そういう性格の人間なのかもしれません…!)
 
 

というわけで、新たにチームを率いる身として自分なりに掲げた「デザイン&ブランディング」についてご紹介をさせていただきました。
みなさまからの次なる“リアルな課題”、お待ちしております!

ADK CREATIVE MALL 特設サイトはこちら


男三兄弟の父です

塚本康太  Kota Tsukamoto
クリエイティブディレクター/アートディレクター

地域密着系広告会社、広告制作プロダクション、外資系クリエイティブエージェンシー、と様々な規模の事業体でADとして経験を積む。ATLからBTLまであらゆるデザインに精通。コンセプチュアルかつ強いデザイン&世界観作りを軸にしたコミュニケーション設計を得意とする。広告賞受賞多数。

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