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ルー化する広告。あるいはブランドエンゲージメントについて。

はじめまして。ADKの竹内史明と申します。ブランドエンゲージメントなるコンセプトのチームを運営しています。そのご紹介に入る前に、まず昨今気になっている広告のルー化について。

古来から存在した”業界用語”

昭和のそれは、面映くも微笑ましいものでした。シースー、ザギン、ツェーマン、ケツカッチン。枚挙に暇がありません。

が、これが2000年代を契機に急加速。シンプルな反転や隠語とは異なる、ガチチックな専門用語が大量発生しはじめます。いわくクロスメディア、インテグレーテッド、コミュニケーションデザイン、ソリューションニュートラル、タッチポイント、カスタマージャーニー、戦略PR、デジタル、オウンド、ダイレクト。牧歌的だった昭和とは異なる本気感です。

そして2020年代。状況は加速し、さらに強い横文字が登場。たとえばこちらは、弊グループが新たに編成した事業ブランド「ADK CONNECT」が提供する9つのコアソリューションですが

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これまでの広告文脈では出てこなかったような、かなり手強い横文字の組み合わせが激増しているように感じます。

この業界用語の変遷(敬愛を込めてルー化)は、広告代理業の収益構造の変遷と密関係にあると考えます。つまり、かつての業界用語はTV業界のそれと非常に近しかったのですが、デジタル業界の香りが入りはじめ、ここに来てコンサル業界の用語が拡がっている。ということなのではと。

TV(筆頭のマス広告)に限らない、収益モデル/情報環境へのシフトが加速しつづけている昨今、その環境変化に呼応するコンセプトが

BRAND ENGAGEMENT

やっぱり思いっきり横文字ですが、こう定義しています。
「あなたのブランドしか提供できない体験をニュートラルに考える。それが生み出す顧客とのエンゲージメントが何より強いと知っているから。」

1000億回ぐらい言われていることですが、いま広告は作り手が期待するほどちゃんと見られてはいないし、見たとしてもなかなか信じてもらえません。(そもそも人のココロを動かすのは死ぬほど難しいですし)

情報爆発かまびすしい現代で、自分たちに都合良く解釈せずに。マスに限らないあらゆる接点をフラットに使いながら、各ブランド体験をコントロールすることで、最終的な顧客満足を高め、ファンになっていただく。そんなコンセプトです。

まとめますと、以下をUSPにしております。
●統合型キャンペーンの企画立案
●生活者とのエンゲージメントを高める体験づくり
●拡散するBUZZ/PRの獲得


無免許運転

ただ正直なところ、そのコンセプト自体は"見たことないほど目覚ましい発明"というほどではないと思っています。インテグレーテッド、コミュニケーションデザイン、ソリューションニュートラル。先に挙げたこのあたりとひと目でわかる違いはやや薄い。

正確には、これらよりも、より「ファン化=エンゲージメント」の部分に意識を配っていたりしますが、どちらかというと、自身のキャリアとの繋がりのほうが、話が明快な気がしています。

僕は、約20年前の入社時はメディア部門でした。新聞社担当として、とんでもなく怖い某大手新聞社の営業さんにトラウマ級に怒鳴られまくっていたのがキャリアの出発点です。

その後クロスメディア的な部署に移り、そこから徐々に、広義のプランナーとして、領域を定めず企画制作を行っていきました。

火が付きはじめていた戦略PRを1億円近いバジェットで実施。口コミを意図したアンビエントOOHを開発。デジタルが急勃興しはじめるとキャンペーンサイトのワイヤーを書き、Googleアナリティクスを四苦八苦して習得してアクセス解析をクライアントにレポート。会社の新規事業開発に応募してアプリ事業をゼロから立ち上げて運用。

そうした越境に楽しみを覚えていたのですが、1番欠けていて、最後に着手したのが広告制作でした。ただしそれは縁・運・タイミングによってそのチャンスを得たもので、いわゆる転局試験*なども経ずに携わるようになりました。   *普通はクリエイティブ職に移る際に受ける社内考査

当然いい気がしない方もたくさんいらっしゃったでしょうし、単純な知識不足による恥/悔しい思いも多々。「トラディショナルな広告じゃもうダメだろ?」とそれ以外を堀り続けていた約8年の復讐を受けているようでした。

それについて悩んだ時期もありましたが、最終的には過去は変えられないですし、自分は無免許運転なんだと自覚して望むようになりました。

これはただ開き直っているわけではなく、純粋な広告制作出身ではないからこその視点がきっとあるはずと信じて、そっちを強みとしてやっていこうという腹のくくりと、あとは無知の知を受け入れ、とにかく実戦で鍛えようと。

長くなりましたがそんなバックボーンを経て、メディアや方法論に捉われることなく、顧客とのエンゲージメントに寄与する体験提供に特化した「BRAND ENGAGEMENT」というコンセプトを掲げるに至りました。

実施事例

いくつか、最近の具体事例をご紹介します。いずれもCreative Directorという役割ですが、越境を重ねてきたからこそのニュートラルなブランド体験を目指したものです。

TOMMY HILFIGER 15秒ランウェイ(2019)

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「日常をランウェイに」というコンセプトで、些細な瞬間をランウェイに見立て、15秒のプライベートファッションショーをInstagram Stories 上で実施。Storiesでの広告は必ずしも好まれないこともあり、リアルな投稿としてターゲットに見てもらえるよう、二階堂ふみさん/金子ノブアキさんご本人のアカウントから7日間投稿。クライアント案件であることすらユーザーに気づいてもらう仕掛けにより、滝のような数の口コミ/真似動画/PRを獲得しました。

*展開概要はこちら
*ACC 2019 GOLD、ADSTARS2019 GOLD、ADFEST 2019 SILVER、SPIKES 2019、 BRONZE、広告電通賞2019 SILVER
*タレント契約は終了しています


Pringles リニューアルキャンペーン (2020)

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コロナもあり鬱屈した日々を送るターゲット(10-40代男女)に、リニューアルしたPringles(プリングルズ)を選んでもらうために。Wミーニングの「フタしてない?」をスローガンに、ナチュラルボーンフタしてないフワちゃんを起用。デジタル上で拡散するWEB動画に加え、アクティベーションを連打する立体的な仕掛けにより恒常的なPR露出やソーシャル拡散を図ることで、効率良くターゲットにリーチしつづけました。
YouTubeの特性を踏まえた "Pringlesバズーカ"の高速EDIT動画は700万再生以上を記録。
Twitterライブイベントはオーガニックでトレンド3位、数万RT/いいねを達成し、国内外でも随一の BUZZを創出。
●仕込んだTV PRで3局5番組に露出。

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*Twitter社 「ベストオブツイート2020 Asia」ベストローンチ賞 
*タレント契約は終了しています

Pringles リニューアルキャンペーン (2021)

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上記「フタしてない?」シリーズは今年も継続していただき、kemioさんを起用したキャンペーンを展開中。マストバイキャンペーンも含めたデジタルを主戦場にした施策とともに、国境や古いセクシャリティの「フタ」を軽々と
外しているkemioさんのパワーもあり、すでに多くのユーザーが購入を表明。非常に強いブランドエンゲージメントをもたらしています。

*走れメロスをパロったWEB動画こちら

AXE (2020)

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世界的にも有名なフレグランスブランドAXE。ただし、日本人は無香への崇拝が非常に強い。香りの持つパワーや必然性に気付いてもらうには?という課題に対し、「ほとんどの男性は視界に入っていない」=「第1印象すら抱かれていない」という女性のインサイトを入口に、キーコピー「香りは第0印象」を開発。女優清野菜名さんを起用し、TV CMからパッケージ開発まで一貫して行い、ブランドに新たなユーザーを取り込む大きなきっかけを与えました。

AXE_パッケージ


BOOKOFF (2021)
ここ数年「本ねえじゃん」というパンチラインでコミュニケーションを図り、話題を作っていたブランド。しかし実際に店舗へ足を運んでみると、
ずっと気になっていた本もあるし、探しても手に入らなかったCDもあるし、
店内を歩くだけで「思わぬ出会い」が沢山ある。つまり「ねえじゃん」どころか、「あるじゃん!」じゃないか!という発見をコアにしてブックオフに"ある"価値を伝えていく新TV CMシリーズとグラフィックを先日公開しました。

寺田心さんに加え、女優の松本穂香さんを新キャスト起用↓

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以上です。登場順ですが、Instagram Stories 、WEB動画、アクティベーション、Youtube、Twitterプロモーション、TV PR、
マストバイキャンペーン、TV CM、パッケージ開発、グラフィックほか。
すべてをフラットに、適切な打ち手を模索してきたつもりです。

理想と信条

終盤です。日頃思い描いている理想/信条を、せっかくの機会ですので照れながらご紹介します。3点あります。

1. 海外アワードとれる×親でも知っている
ほぼ見たことがない気がします。このとてもとても狭いベン図の交点になる仕事を、いつか叶えたい。

2.ただしい × たのしい
右脳と左脳を、自由に行き来して、ワクワクする!× 理にかなってる! 

3. 社会的意義のある仕事
すべてのクライアントさんにあると信じる社会的価値を伝えることで、世を1mmでもポジティブに。

なにより大事なこと

ご紹介した事例や、上記の理想。すべて自分ひとりでは絶対に叶えられないものです。

…というイントロからグラミー受賞コメント的なことが来そうですが、
それです

今の自分のチームに入ってくれている
CD・アートディレクター・コピーライター・プランナーは
近しいスタンスでお仕事に望むメンバー、修羅場を乗り越えた戦友、窮地を助けてくれる仲間です。

もちろんチームに限らず、いつも一緒に右脳×左脳を打ち合う戦略家や、
無数の社内外のスペシャリストたち。

彼/彼女らと一緒に、ゲラゲラ笑いながら仕事すること。

怒号が飛び交うレストラン厨房から出る
料理はどこか冷たい味がするといいますが、ある後輩女性からコロナ前に
「竹内さんのいる打ち合わせは、
 会議室の外でもすぐわかる。
 笑い声がうるさいから」
と言われたのを、実はなにげなくとても嬉しく覚えています。

しんどくても上手くいってなくても、笑顔の耐えないチームで仕事ができることがなんだかんだで1番大事なのでは。リモートがデフォルトになった今、よりそう感じます。

最後に

最後に、余談です。
最後のくせに、余談です。

昔、同期で旅行した際に「英語禁止ゲーム」というのをよくやりました。
カタカナ語を喋ったらテ●ーラを一気飲み的な若さあふれる施策でしたが
僕はそれが異常に弱く、"ニアリーイコール"とか言っちゃって2杯連続で飲まされたことも。

そんな自分なこともあり、ここまでの文章で登場したカタカナ語を数えたら138箇所。リモートがデフォルトに、とか他にいくらでも言いようありそうです。

昔からルー化してたのは自分でした。
というお話でした。
お読みいただき、ありがとうございました!



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クリエイティブディレクター
竹内史明 Fumiaki Takeuchi

マス広告・PR・デジタル・プロモーション・プロダクト開発など、領域にとらわれないニュートラルな企画制作を担当。

《AWARDS》
TOYOTA SOCIAL APP AWARD 2011<GOLD>
東日本大震災復興支援で制作した写真集「南三陸から 2011.3.11~2011.9.11」 2012年度講談社出版文化賞
2015年 KIRIN Mets スペシャルサイトが米FWA「Mobile of the Day」   
2016年 スカパー! 「COPA AMERICA LOTTERY」SPIKES ASIA  Bronze
2017年 「KAGOSHIMA by ROLA」電通広告賞、福岡広告協会賞
2019年 「15秒ランウェイ」ACC GOLD、ADSTARS GOLD、ADFEST SILVER。

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