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5Gとひみつ基地:イノベーションとコミュニケーションを、もっとズブズブな関係にしたいと思った話。

こんにちは。ADKのCREATIVE MALLという取り組みの中で、イノベーションをテーマにしたチームの運営をしている大塚です。

僕たちのチームでは、未来のたこ焼きをつくったり、盆栽にAIを搭載するプロジェクトや、リモートロボットがカフェで接客するプロジェクトをサポートしたりと、テクノロジーやサイエンスとクリエイティブを掛け合わせることをテーマに仕事をしています。

ということで今回は、5G時代にクリエイティブには一体何ができるのか、その一つの可能性についてお話してみたいと思います。ただし、難しい技術の話ではなく、今僕たちの身の回りにあるものでどんな未来をのぞきみることができるかという、実験精神とライフスタイルのお話です。

オフィスに行かず、家にも帰らず、働くことはできるのか。

僕は去年から東京の本社に所属したまま、人里離れた山の中に拠点を移しています。今ではイノベーションをテーマに仕事に取り組んでいるわりに、ものすごくアナログな生活をしています。

こうしたリモートワークをしていると、ふとした考えが頭に浮かびます。
これだけ場所にとらわれなくなったら、将来的には地面につなぎとめられたオフィスや家はいらなくなるんじゃないか?と。
それは僕が大ファンである、さすらいながら各地で仕事をする男が主役の、某国民的フーテン映画の世界がデジタル時代に再び可能になるのではないか、という期待を大いに刺激しました。(ちなみに、クリエイティブ業界に●さんファンはなぜかとても多い気がします)
ということで、最近僕は週末のたびに、家にも帰らず移動しながら生活する、という実験をして、来たるべきどこでもワークの時代に向けて、準備をしています。

5Gより5GP

この生活を支えるキーとなるのが、5G的環境です。5Gスマホを5G回線で使ったことのある方は、その超高速スピードに驚いたと思います。Netflixの動画が数秒で落とせますよね。本当に。
それもすごいことなのですが、僕はもう一つ、5Gスマホの普及と同時に、各キャリアのデータ無制限もしくは超大容量プランが一般的になったことに、結構大きな意味があると感じていました。実際この5GP(5Gプラン)をフル活用すれば、どこにいても家でWifiを使っているのと同じように、YouTubeでもZoomでも、なんでもほぼ全部できてしまいます。

週末ひみつ基地生活、スタート。

ということで週末が来るたび、ふらりと出かけて生活ができるか実験しています。ただ、いくつかルールをつくりました。まず移動する場合、1日の移動時間は1.5時間以内。かつて通勤往復に使っていた時間をあてるのであれば、そのほかは以前と同じように仕事や家事の時間として確保できるだろう、という計算。あとは、人がいないところへ行き、基本的に生活全て個人空間(車など)で過ごすこと、です。このためにパッカーンと天井が空いてテントになる車も用意。思い描く未来は、優雅なノマドワークとかワーケーションではありません。どちらかというと、サバイバルワークに向けた実験です。こうして僕のひみつ基地は完成しました。

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(ある日のひみつ基地)

なぜイノベーションに囲まれているのに、
僕らは不便な生活を志向するのか?

スマホやPCだけでなく、モバイル電源や軽量で高機能な服など、必要なものはいろいろありましたが、結果としては、全然問題なく生活を送ることができます。仕事も間違いなくできるでしょう。
でも、いろいろなことに気づきました。5Gしかり技術的、価格的なイノベーションに囲まれているのに、なぜそれらをフル活用して、自分はこんなに不便な生活を送るんだろう?と。トイレも遠いし、自炊も面倒だし。
でもこれは僕の話だけではなく、最近世の中で話題の二拠点生活や田舎の生活、あるいはコミュニティ・デザインのようなものも、基本的には不便さや手間が増えることを厭わない、そんなムーブメントだと思います。一方で、そうした新しいライフスタイルを支えているのは、数々の最新イノベーションだったりします。一体なぜこんなことに?

イノベーションに、ストーリーを。

その理由の一つには、イノベーションの先に、新しい働き方やライフスタイルがあるはずだという、みんなの想像力を掻き立てるストーリーがあるからではないでしょうか。
かつて、技術的なイノベーションは「あらゆるものが便利になる」という共通のストーリーを持っていました。でも、豊かさの概念が変わってから、もはやそればかりではなくなった。むしろ、時にはあえて便利にならないこと、大して役に立たないことにも、現代人は惹かれるようになっています。逆にいえば、「便利一筋」のストーリーが終わりを迎えた今、イノベーションには、それと対になるように人を惹きつける新しいストーリーが必要なんだと感じます。
僕のひみつ基地実験の場合、それはテクノロジーと昭和の国民的映画の融合で生まれる、2020年代的な新しい働き方というストーリーへの憧れでした。

イノベーションとコミュニケーションを、もっといい関係にしたい。

イノベーションは、いろいろなところで日々続々と起きています。サバイバル生活で最近すごいと思ったのが、災害時対策としても注目を集めるポータブル電源。1日で使う電気をわずか1~2時間で充電できてしまうという、凄まじいイノベーションがありました(今までは8~9時間とかかかっていたのに!)。そんなピンポイントなイノベーションもあれば、5Gのような巨大なイノベーションもあるし、新しい技術が次から次へと生まれてくるであろうことに、ワクワクしますよね。
でも僕のひみつ基地生活でみたように、そこには同時に、その技術を使って(ただ便利になるばかりでなく)どんな価値観やライフスタイルを発見するのかという、新しいストーリーが必要です。
ある技術的なイノベーションが、共感されるストーリーと一緒になった時に、はじめて意味のある大きな価値になる。こういうケース、結構あるんじゃないでしょうか。

この新しいストーリーを、コミュニケーションの力で生み出すこと、そして世の中に広げていくことを目指して、僕たちは「クリエイティブ・イノベーション」をテーマに日々試行錯誤しています。
それはつまり、ある企業や組織が持っている技術やイノベーションを、社会的な価値をもつストーリーに磨きあげることを目指す取り組みでもあります。
例えば、未来のたこ焼き=温暖化観測技術から未来の食卓を考えようという呼びかけだったり、盆栽にAIを搭載する=極小のテクノロジーが人と植物の関係を変える可能性を提案してみることだったり、冒頭でご紹介した僕たちの仕事は、そんな「新しいストーリーを発見したい」「世の中に広げたい」という僕たちの姿勢が、多少なり反映された仕事だったのです。
イノベーションとコミュニケーションを、もっともっと近づけたい。それが、僕たちが日々抱いている想いです。

クリエイティブ・イノベーションが目指すこと。

ポテンシャルがあるのに、世の中に広まらず眠っているイノベーションがある。
■そもそもイノベーションにいたる前の卵の状態だ。
■いや何ができるかわからないけれど、社会を少しでもいい方向に変えたい。

そんな想いや技術を抱えている方は、ぜひ僕たち「クリエイティブ・イノベーション」チームにお声がけを。ストーリーの力でイノベーションを磨くことも、新しいイノベーション自体を生み出すことだって、できるはずです。
ぜひ一緒に、最高のイノベーションのために、コミュニケーションの力でストーリーづくりをお手伝いさせてください。

ソリューションアイデアの専門店街「ADK CREATIVE MALL」には、さまざまな専門性を持った課題解決のチームが、この後も続々登場します。リレー形式でお届けするnote「ADKクリエイティブ・ノート」。この先もお楽しみに!

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クリエイティブ・ディレクター
大塚 智 / Satoshi Otsuka
テクノロジーやサイエンス、新しいライフスタイルなど、「今までできなかったこと」全般に興味を持ってアイデアやソリューションを開発。広告としては亜流でも世の中に対しては本流で、をモットーにブランド改革のお手伝いをしています。
カンヌライオンズやアジア太平洋広告祭で受賞、審査員としての活動も。
日本広告業協会クリエイター・オブ・ザ・イヤー2018メダリスト。

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