見出し画像

広告のロマンはまだ死んじゃいないことを、 ウチの可愛いワンちゃんとの真剣勝負で検証してみる。

もう、ネコ動画には勝てない。
そんな風に言われるほど、広告は見られなくなってしまった、らしい。

「たくさんの人から注目される」のが魅力だったこの仕事は、「脱・広告」のまっただ中だ。課題解決ビジネスへの進化を目指して、クリエイターもなんとか歩調を合わせようとしている。

でも、この業界に“次の夢”をしめすようなわかりやすい成功モデルはまだ少ないし、誰もがあこがれる絶対的スターも今はいない。何を目指せば、これからのクリエイターは幸福になれるのか。いまいちはっきりしないままだ。

この先また時代が変わっても、クリエイティブという仕事に「生きる実感」を持って、ワクワクしながら働ける。そんな新しいクリエイター組織のあり方を考えながら日々モヤモヤするのが、いまの僕の仕事である。
(プレイングマネージャーってやつだ。実態は“マネージングプレイヤー”に近いけれど・・・)

広告クリエイターは、ネコに負けたままなのか?
その検証を兼ねて、僕がこれから綴る広告への熱いパトスのあいだに
うちのイヌの写真を交えながらお届けすることにする。

ジジ子供1

このnoteは、愛くるしいワンちゃん写真をかいくぐり、クリエイターが書いた原稿がスキップされずに、あなたに最後まで読んでもらえるかどうかの挑戦だ。「プロの広告屋 vs 素人コンテンツ」の関ヶ原決戦と言っていい。

クリエイターとして、犬の「ワンサイドゲーム」というオチだけは避けたいと思う。

ジジ子供2

「広告ェ・・・じゃあゲームをはじめようか・・」

広告クリエイターの夢を迷子にしないために

それにしても最近の広告は、もはや「パズル」である。

狙った成果を叩き出すために、様々なメディアや施策のピースを最適な組みあわせで、ピタッとハメなきゃならない。
ただし、ピースの数・大きさ・カタチなどがまったく決まってない無理ゲーだったりする。

世の中を良くする素敵なアイディアを!と夢見ても数字で結果を丸はだかにされる「日々の現場」に、現実へと引き戻されてしまう。そんなクリエイターが、少なからず身近にいたりする。

もちろん、広告の変革は待ったなしだ。
でも、ますますムズかしくなるこの仕事を前に、やりがいや夢が迷子になってしまう気持ちも、すごくわかる。

画像7

「だろうね。知らんけど。」

僕自身も実は、人ゴトではない。
僕はいまだに、CMが大好きである。
とにかく何かとオワコン扱いする「TVCM刈り」へのアンガーをマネジメントしながら生きているし、デジタル時代に幕府に追われた大量のTVCM年鑑たちを自宅にかくまって保護している。

でもCMは、目的や課題に応じて「正しく、上手に使えばよいだけ」だ。
メディアとしてのテレビのパワー低下を、CMそのものの衰えとゴッチャにしないでほしいとも思っているし、あるいは、今まで自分が学んできた広告制作のスキルが何にどう役立つか、何に使えばワクワクするかを考え直せばいいだけだと思う。

そんな“越境”を前向きに楽しもうとするクリエイターも徐々に増えている。
それをどんどん歓迎できる、柔軟な組織が必要だ。

画像8

 「前段長いけど、いつもこうなの?」

”越境”をのぞむクリエイターの受け皿が、足りてない

3年前にこんなことがあった。短期間のうちに3人からたて続けに、“デジタル方面”へ転職することを告げられたのだ。

僕のせいなのか? それとも時代のせいか?
いっそ冬のせいにして暖めあうしかないのではないか?と管理職1年生だった僕がJ-POP風に困惑していると、

「デジタルのほうが、自分の仕事の反応が見えて手ごたえがありそう」

と意外な理由が口々に返ってきた。驚いたのは、全員がマス広告ひとすじでやってきたアートディレクターだったことだ。

そういった発想の転職を思いつかなかった当時の僕は、彼らの前向きな決断を意外に歓迎できた。でもその時残念に思ったのは
「そのセカンドキャリアは、うちの会社じゃ叶わないわけ?」
ってことだった。 

画像10

「ちょっと散歩してくるわ」

クリエイターの課題解決力を「自分たちの人生をよくするために」使おう

僕はクリエイティブを「商品の“居場所”をつくる技術」だと思っている。
邪魔者扱いされがちな広告も、本当に必要とする人へ・本当に必要な内容を本当に必要なタイミングで届けられたら、必ず誰かのためになり「その商品が自信を持てる場所」をつくれるはずだ。
言い変えればクリエイティブは、市場や社会において商品の「生きる意味をつくる技術」ということでもある。

ならもし、商品を「クリエイターそのもの」に置きかえて考えたとしたら?
クリエイターが世の中で必要とされる場所をつくり、「生きる意味」を見つけることができる。それがひとつの組織の中でできたら、素敵なことじゃないか。

画像7

「”犬の人生”・・・か・・・」

クリエイターの「夢の見方」を取り揃えたクリエイティブモールという発想

「ひとりひとりのクリエイター人生を豊かにする」という課題を組織として解決する。それが、いま僕たちが運営している「ADK CREATIVE MALL」の大事なテーマでもあるのだ。

「ADK CREATIVE MALL」は、異なる専門性や個性を持った複数のプロフェッショナル・ユニットが集まっているクリエイターの専門店街だ。クライアントがその時の課題に合わせて最適な「課題解決のパートナー」を選ぶことができるように「クリエイターの専門性を見える化」している。

でもこの組織は「クリエイターの“これからの夢”を見える化」し、
クリエイターとして「幸福な働き方」の発掘をめざす実験プロジェクト的な側面もあるのだ。

画像7

「腹減ったな。さっき食べたけど。」

「スターにならなくても幸せ」なクリエイター人生へ

これまでの広告業界の夢は「クリエイターの成功はスターになることだ」 という、一元的な信仰に支えられてきたように思う。より良い社会づくりに貢献する課題解決ビジネスとして進化の途上にある今でさえ、まだその気配を強く感じることがある。

僕も、業界誌の中でキラキラしているマス広告のスターを、会ったこともないのに勝手に10人ほど師匠認定していたクチだ。
でもこれからは、そういった邪な気持ちから自由にならない限り、クリエイターとして働く本当の幸福はもう手に入らないだろう。

今でも一部の影響力のあるトップクリエイターの方々は、内外のアワードや業界メディアを通して、これからのクリエイティブの「あるべき姿」を発信し続けている。クリエイティブという仕事の存在意義を絶やさないようにするために、それはもちろん必要なPRではある。

でも「これからの広告は、こうあるべきだ」をひとつの正解として示される一体感に、小さな違和感を感じるクリエイターも中にはいるのではないか。

合理的であるべきか、感性的であるべきか
メッセージなのか、体験なのか
足元の数字か、もっと先の未来か
刈り取りか、ブランドか
文化活動か、経済活動か
それは広告か、広告じゃないのか

そんな「これからの広告クリエティブの正義は何か」について、トップクリエイターが主張する答えにしたがうだけではなく、もっと「多様な夢の見方」を認める組織としての具体的なアクションがないと、広告は根本からは変われない気がするのだ。いつまでたっても単なるポジショントークのぶつけ合い続くだけで、結果的に業界の進化を阻むことになってしまう。なかなか現場で理想の統合が進まない「マスvsデジタル」のように。

クリエイティブに対してそれぞれが自分なりの答えを見つけ、互いをクリエイターのひとつの生き方として認め合える。クリエイターとしての「正しいミッション」だけでなく「色々なロマン」を作り出せる。 

そんな懐の深いクリエイティブ組織が、この業界と世の中を本当の意味で変えて行くと思う。       

画像8

「あんたも会社の犬だねえ・・」

誰でも世界は変えられる。             それがクリエイティブだと信じたい。

誰にも憧れられるスターになるのもいいけど、誰かにとっての「恩人」になる方が、幸福だ。
みんなが知っている派手な仕事をするのもいいけど、細かい数字の並びから誰かの笑顔を想像するのも、面白い。

そんな風にこれからのクリエイターには、いろんな幸福感があっていい。
自分の好きなやり方で、得意な手口で。
たとえどこかでつまづいても、別のチャンスが「社内に」残されている。
そんな、クリエイターとしての人生を全うできる場所。
クリエイターとして骨を埋めることができる「最初で、最後の居場所」に、僕たちのADK CREATIVE MALLがなるといいと思う。

クリエイティブは、
たとえ世界そのものに直接手をくだせるようなスターにならなくても、
たとえそれが名もなき仕事だったとしても、誰だって「誰かひとりの世界」を変えられる仕事なのだ。
それで十分じゃないか。

そんな豊かな考えを持ったクリエイターが、たくさん集まって混じり合えば
この仕事はもっと誇れるものになっていくはずだ。

画像9

「広告クリエイター・・・恐ろしい子・・・!」

勝負の結果は

ここまで辿りついてくださった皆さん、ありがとうございます。

僕が上で書いてきた「ADK CREATIVE MALLの広告」は、あなたが読んでいる途中でスキップされずに、悶絶かわいいウチのワンちゃんの誘惑に勝てたでしょうか。

ADK CREATIVE MALLで店を持つCDたちは、自分がこれまで育ててきたクリエイティブのスキルと哲学を信じ、いろんな世界へ軽やかに越境していける、リスペクトすべき素敵なメンバーばかりです。

僕も自分を信じ、ほとんどが年下である彼らからも学びながら、自分なりのクリエイター人生を豊かなものにしていきたいと思っています。

そういえば、ウチの会社は「ADKクリエイティブ・ワン」という社名だったことに気がつきました。

ということで、この勝負は「1-1」のドローだ。

ADK CREATIVE MALL 特設サイトはこちら

ジジと筆者モノクロ

Senior Creative Director / Copy Writer / CM planner           ADKクリエイティブ・ワン 第1CR局長                 田中壮太郎 Sotaro Tanaka                       ※写真は今回の互いの激闘を称え合う筆者と愛犬ジジ


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!