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“コミュ障”だった僕が、コミュニケーションを作ってるわけ。

そうなんです。僕、コミュ障だったんです。

 コミュ障とは、”コミュニケーションが苦手”という意味のネットスラング的な言葉。僕のことを知っている人は、これを聞いてどう思ったでしょうか。「だろうなあ」なのか、「意外!」なのか、ちょっと気になるところです。さて、自己紹介をさせてください。僕は、専門性によって課題解決のブレーンが選べるクリエイターの専門店街 ADK CREATIVE MALLで〈フレームデザイン・クリエイティブ〉を戦略コンセプトとして掲げているチームの、CMプランナー/コピーライターの佐藤陸です。新卒でADKに入社して、クリエイティブに配属されて3年目。まだまだペーペーの新人です。日々、先輩の案を見て「勉強になるなぁ」って思ったり、はたまた「いや、俺のやつの方が面白いんじゃないか」と思ったり…? 絶賛、精進している最中です。

 そんな僕が今回、このnoteで書こうとしているのは、コミュ障とコミュニケーションについて。タイトルにあるようにコミュ障だった僕が、なぜコミュニケーションを作っているのか。なんなら、コミュ障にコミュニケーション作りを任せてもいいのか。みたいなお話をしてみたいと思います。ぜひ「コミュ障だったやつが書く文章ってどんな感じ?」くらいの軽い気持ちで見てってください。
 

広告業界の就活とコミュ力

 最近OBOG訪問を受ける機会がありました。まだ僕自身、就活をしていた時から3年くらいしか経ってないのに、なんだか歳をとった気がします。新卒でクリエイティブに入ることができたのもあり、クリエイティブ周りの話を聞かれることが多いです。その中でたまーに聞かれるのが、「コミュ力って大事ですか?」って質問です。「コミュニケーションを作ってるんだから、コミュ力は必要だろう」って印象なんでしょう。まあ普通そう思いますよね。僕も思っていました。就活でコミュ力あるぜムーブかましてましたもん。同じグループの人に無駄に話しかけたり。(でも話しかけるだけであまり会話は広がらないという残念な結末も。)正直、これを聞かれて困りました。なぜなら、あったらいいとも思うし、ないことで良いこともあると思っているからです。これについては最後に少し話そうと思います。
 

コミュ力ってなんだろう。

 そもそもコミュ力ってなんなんでしょう。コミュ力、つまりコミュニケーション能力。文字通り考えると、相手と意思疎通をする能力。それだけなら僕だってできてましたよ?友達だって、もちろんいましたし。でも、しばしば巷で言われているコミュ力は、これ以上の意味を持っているように思えます。コミュ力というワードは広告業界関係なく、学校生活や就職活動などでよく聞くようになりました。日常生活の語彙になっていたと思います。「あいつコミュ力お化けだよな」と褒めてみたり、時には「俺コミュ力ないからさ」と自虐的にも。友達と話せているのにコミュ力ないってのは、意思疎通以上の意味があるのかなって思いません?そこで、僕なりにコミュ力って何か考えてみました。ズバリ、コミュ力とは「相手に親近感を与えられる」ことなんじゃないかな、と。
 

コミュ障を振り返る。

 ここで一度、僕がいかにコミュ力が無かったか、自慢していこうと思います。(?)

コミュ障エピソード vol.1 〜小学校入学〜

小学校の入学式をドタキャン。
「せっかく買ったスーツを着て写真だけでも残したい。」
という親の思いに負けてふてくされながらも撮った写真。

 まだまだ僕が幼くて可愛いころ。小学校入学をきっかけに、東京に越してきました。てな訳で、幼稚園の知っている子たちとはお別れ。全くもって新しい人たちとの生活が始まります。そんな状況にコミュ障だった僕は耐えられるわけもなく、入学式はドタキャンです…。僕に鯉の餌やり当番の任を与えて更生させてくれた校長先生、本当ありがとうございました。

コミュ障エピソード vol.2 〜無言で終わった初デート〜
 まだ僕が子どもで可愛いころ。あれは中学1年くらい? コミュ障の僕でもなんと付き合うことができ、デートすることに。付き合ってもコミュ障は、コミュ障。むしろ、なぜか緊張が加わり友達の時より話せなくなってしまい、ほぼ無言でデートを終えるという始末。情けなくて、不甲斐ないです…。もちろん今は、そんなことないですよ???
 

脱・コミュ障を図る。

 という感じで、僕がいかにコミュ障だったか、わかってもらえたでしょうか。てかあれですよね、コミュ障だったってなんで自慢してるんだって話ですよね。ホント恥ずかしいです。まあとにかく、こんなことがあって、「コミュニケーションむずっ…」「コミュニケーション苦手…」という意識が僕の中で大きくなっていきました。

 とはいえ「コミュ障のままでいい」なんて、1ミリも思っていなくて。むしろ、変わらないとな、と思っていました。何が嫌だったかって、自分を伝えられないとか、相手を知れないとか、いろいろあったりします。でも特に、相手に不快感を与えてしまうかもしれない、ということが嫌だったんだと思います。気まずさとか、不自由さ、みたいなものからくる不快感です。だって、コミュニケーションが上手くいかないと、その場から離れたくなりません? その人とのコミュニケーションが嫌になっちゃう。そう感じさせちゃうことが申し訳なく、かつ悔しかったんですよね。だから僕は、コミュ力を高めようと、ちょっとずつ動いてみたんです。
 

Vol.1:その人らしさ、に親近感。

 僕は、コミュ力高いで有名なあのコーヒー屋、スタバでバイトすることにしました。いやいや、コミュ障のお前なんかが入れるわけないでしょ?って。僕もそう思っていたんですよ。実際、面接も一緒に受けていた人の受け答えが完璧で、「うわこれは落ちたな」と。でも、なんでか受かっちゃったんです。後日店長に理由を聞いたら、「スタバで働いてそうだから。」だそうで。それでいいんだ、って思ったのは正直なところです。まあこんな感じで、僕は新宿のスタバで働き始めたわけです。若い子はもちろん、外国の方、そして酔っ払いまでいろんな人が来ます。なんせ新宿はカオスな街ですから。時には僕の接客スマイルを「ニヤニヤしてんじゃねーぞ」と、フードを深めに被ったお兄さんに怒られたこともありました。流石に焦りました。

 そんな環境で働いてきて、気づいたことがあります。それは、“その人らしさ“が現れたコミュニケーションは、親近感を与えることができるということ。らしさというのは、その人の背景のこと。生まれや育ち、好きなものや苦手なもの、気になっているものなど、よくいうプロフィール的なことです。僕のいたスタバには、いろんな人がいました。中国の実家が富豪の人とか、コーヒー屋で働いているのにコーヒー苦手とか。で、その人たちみんなが、その人らしいコミュニケーションをしているんです。中国からの観光客と地元トークみたいなことしてたり、コーヒー苦手な理由をコーヒー好きなお客さんと話してたり。そのコミュニケーションは、確実に親近感を高めていたと思うんです。それぞれが、自分らしい内容でコミュニケーションを取れば良い、ということに気付かされたんです。だから僕も、無理に自分を繕って会話したりせず、好きなこと、思ってることをそのまま会話することに努めました。
 

Vol.2:キャラクター、に親近感。

留学先のアメリカでの一枚。久々に見て、なんか若いなって思いました。

 僕は、異文化とのコミュニケーションを学ぶため、留学にいくことにしました。とは言っても夏の間だけの短期留学。アメリカで、コロンビアの人たちと寮生活をしました。日本生まれ日本育ち、生粋の日本人である僕が英語をペラペラ話せる訳もなく。でもコミュニケーションを取らないと生活はできないし。ってことで四苦八苦していました。

 異国の地で生活していて、僕は気づきました。コミュニケーションにおいて“キャラクター“は重要だ、ということに。結果的に言葉が通じない中でも、コロンビアの人たちと仲良くできたのですが、それはひとえにキャラクターのおかげだった思うのです。キャラクターとは言葉や会話の内容ではなく、見た目や話し方、リアクションや態度などのことです。雰囲気やトンマナとも言えるかもしれません。言っていること全てをちゃんと理解できていなくても、話している時の態度だったり、表情だったり。その人のキャラクターに親近感を覚えて仲良くなっていったのです。
 

Vol.3:効率的、に親近感。

 僕は、学問としてのコミュニケーションを、大学で勉強することにしました。国際基督教大学(ICU)って大学で、僕はMCCというメジャー(専攻)を選択していました。なんだそれ、ですよね。MCCは、メディア・コミュニケーション・文化メジャーの略です。長ったらしいから履歴書を書くときには苦労させられました…。社会学や言語学、メディア論など、もろもろ学んでいました。もちろんコミュニケーション論についても。

 ”まあまあ”真面目に勉強してみて、わかったことがあります。それは、コミュニケーションは“効率的“であるべきだということ。ちゃんと説明するとちょっとボロが出ちゃいそうなので…簡潔にまとめると。人間は怠惰な生き物なので、なるべく労力をかけたがらない。そしてそれは脳も同じで、基本的には効率の良い情報処理を好みます。最低限の労力で、最大限の効果を得られると脳は喜んでくれる。すなわち、コスパ良く、楽にコミュニケーションが取りたいわけです。そして、楽にコミュニケーションが取れるということは、相手に対する信頼につながっていきます。(とはいえ今の話はいろいろ端折っていたりするので、あくまでもおおざっぱな話です。非効率なコミュニケーションにも意味があったりするので、もし興味がある人は語用論とかみてみると面白いですよ!)話していて楽な人って、やっぱり親近感湧きません?
 

僕的、コミュ力の3要素

 さて、これまで僕のコミュ力向上のお話を長々してきましたが、まとめると。

僕的、コミュ力の3要素: ❶らしさ ❷キャラクター ❸効率的

この3つの要素が、コミュ障だった僕的には親近感や信頼を築くコミュ力に関わってきます。コミュ障を脱却しましたが(思っているだけかもしれませんが…)、この3つは今も意識しています。広告というコミュニケーションを作る時にも。
 

そういえば広告も、コミュニケーションだった。

 広告って文字通りだと「広く告げる」。これって、1から多数に投げかけるだけのイメージじゃないですか? でも実際はそうじゃないと思うんです。広告の目的って、受け手と商品を仲良くさせるってことだと思うんです。そのためには、ただ情報を放つのではなく、親近感のある情報伝達をしなきゃいけないと思うんです。広告はもはや、個人と個人のコミュニケーションと同じようなものじゃないでしょうか。コミュニケーションを通じて相手を知り、自分を知ってもらう。そうして親近感や信頼を築いていく。ってことは、上の3つの要素は広告コミュニケーションにおいても活きてくると思うんです。そしてなんと、僕が所属している〈フレームデザインクリエイティブ〉は、3つの要素をおさえたコミュニケーション手法なんです。つまり、いうなればコミュ力の高いクリエイティブ手法というわけです。
 

コミュ力高い 〈フレームデザインクリエイティブ〉

 〈フレームデザインクリエイティブ〉は、ひとことで言えば中長期的視点で同じ表現フレームを使用する広告クリエイティブのこと。(詳しくは合田チーム長のnoteをご覧ください!) なぜこの手法が3つの要素をおさえているかというと…  企業/商品らしさを捉えて、フレームというキャラクターを作り上げる。そしてそれを中長期的に使用する。すると受け手が処理する情報が初見の表現よりも減り、効率的なコミュニケーションをすることができる。ということで、広告コミュニケーションにおいても、受け手との信頼を築くことにつながると思うのです。
 

考えすぎて、コミュ障に。

 ここまでいろいろ書いてきて、なんで自分がコミュ障だったか、なんとなくわかった気がします。それはひとえに、考えすぎていたからなのかなって。「これ言ったらどう思われるだろう。」「この話、意味あるかな。」「やっぱやめとこうかな。」とか、いろいろ考えを巡らしてることが、一つの要因なんだろうなと思います。相手を不快にさせないように頑張っていたら、不快にさせちゃうっていう。なんとも元も子もないっていうか…。
 

コミュ障による〈フレームデザインクリエイティブ〉

 でも、この性格ってコミュニケーション作りで結構大事なことなんじゃないかなって思うんです。広告コミュニケーションってface to faceのコミュニケーションじゃないから、修正・訂正することが簡単じゃないんです。なので、一つひとつのメッセージは、より相手を不快にさせないものであるべきだと思うんです。それに、そもそもシンプルに考えて、人を不快にさせるのってダメじゃないですか?笑 最近はあえて炎上して注目を集める、なんてコンテンツも増えていると思います。でも僕個人としては、それ好きじゃないんですよね。どうせなら発信者も受け手も、楽しくありたいじゃないですか。

 コミュ障だから。考え過ぎるからこそ。相手が不快にならないことを、相手が欲しいことを、伝えることができる。そうなんじゃないかな、と僕は思います。このコミュ障の性格と僕的コミュ力の3つの要素は、広告コミュニケーションに、より親近感をもたらしてくれるんじゃないかなって。まあ、あくまで僕が思っているだけですが。冒頭少し触れましたがOBOG訪問で質問をくれた方、僕はこう思っています。
 

おわりに。

 コミュ障だった僕が、コミュニケーションを作ってみて。やっぱりコミュニケーションって難しいな、って。でも同時に、楽しいってのも間違いないです。それは作るのもそうだし、見るのもそう。広告コミュニケーションって日常の至る所にあるじゃないですか。むしろ目に入らないことが無いくらい。その全部が遊びごころ満載なコミュニケーションだったら毎日楽しいだろうなって思うんですよ。そんなこと思いながら、「元」コミュ障のCMプランナー/コピーライターとして、コミュ力高い、面白いコミュニケーションを作っていけたらな、と思っています。今はもうコミュ障じゃないので、なんでも、ご相談のらせていただきます!
コミュ力の高い〈フレームデザインクリエイティブ〉、ご興味のある方はぜひ。
 
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佐藤 陸(さとう りく) CMプランナー/コピーライター

目玉焼きは、しょうゆ派です。

国際基督教大学(ICU)卒。2021年に新卒でADKに入社。入社時クリエイティブテストを受けて、クリエイティブ局へ。ADK CREATIVE MALL〈フレームデザイン・クリエイティブ〉を掲げるチームに配属。映像だけでなくデジタルやアクティベーションまで、幅広く企画。若者の間でバズをうむコミュニケーションや、笑えるような遊び心あるCMをよくやっています。One Asia ファイナリスト。



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