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B2B企業こそ、YouTubeをつかうべき。


好きなことで、生きていく。


7年前。
僕の肩書は「YouTube構成作家」だった。

「YouTuberって、街中で迷惑かける人でしょ?」
「YouTuberって、なんかダサくない?www」

当時そんなことを言われてしまうほど、
世間のイメージは良いものではなかった。
職業としての認知も、そもそもなかった。

そんな時代に、YouTube構成作家なんて、
なおさらよく分からないお仕事をしていた僕は、
大学生活の傍らひとり上京し、
三軒茶屋の友人宅で寝泊まりし、
企画を考える毎日を送っていた。


企画・撮影・編集に追われる図(モザイク多くてすいません)

YouTube構成作家というのは文字通り、
YouTubeの構成を考える仕事だ。
僕の場合は、大体2つのパターンがあった。

① 既存の大手YouTuberへの企画協力・台本制作
② 企画発信のチャンネルを0から作成して育成

構成作家とか企画協力とか言ってしまうと、
なんだか急にちゃんとしてしまうけれど、

当時僕が考えていたのは、
「おっきなプリンを作って、その上でプリンプリンしてみた」
みたいなこと。

仕事というよりも、遊びの延長線だった。

でも、そんな僕たちの遊びを、
毎日待ってくれる人が現れ、動画に広告がついた。

「好きなことで、生きていく。」

そんなYouTubeのコンセプト通りに、
ちゃんと(むしろ大量に)お金を稼げるようになった。


YouTube構成作家の肩書を捨て、広告クリエイターへ


活動を始めてから1年も立たないうちに、
YouTubeは全盛期に入った。

僕の場合、毎日高級焼肉を食べ、
シャンパンを無駄に開け、両脇からは黄色い歓声。
ブランド品を身につけ、タワマンに引っ越す。
まさにYouTubeドリーム。

街を歩けばサインをねだられることもあった。
芸能人でも著名人でもない僕のサインが、
世の中には100枚以上出回っている(恥ずかしい)。

当時書いていたサイン

そんな風にノリに乗っていた頃、
ある広告クリエイターに出会った。

目を合わせた途端にゴングがなり、
広告クリエイターとYouTube構成作家の
異種格闘技が始まった。僕はすぐ白旗を振った。

決してYouTube活動のクオリティが低いとか、
マウントをとられたとかではなく、
純粋に「広告おもしろっ!」と思ってしまったのだ。

同じクリエイターを名乗っていても、
使う脳がちょっとちがう。

そして、
広告クリエイターは面白い人が多かった。
洗練されていて、
当時の僕にはそれがかっこよく見えた。

最終的にどんなキャリアを進むかはわからない。
せっかく手に入れたYouTubeドリームを
手放すには早すぎるかもしれない。
でも、僕の好奇心は止まらなかった。

自身のクリエイティビティを大きくしたい一心で、
ADKという広告代理店に入った。

YouTube構成作家の肩書を捨て、
広告クリエイターになった。


YouTube、ちゃんとつかえてますか?


ADKのクリエイティブでは、
個別に戦略コンセプトを持った
チーム編成が行われており、

僕が所属しているのは、
「B2B」を主戦場とするチームだ。
 
B2B。
それはビジネスとビジネスの間にあるもの、全て。
企業が企業の成長を後押しすることで、
世の中がもっと良くなるとか、
社会的存在意義を伝える、とか。

正直、そんなちゃんとしたことを考えられる自信がない。
不安で3日くらい寝られなかった。
だって今までプリンがプリンプリンとか、
お尻にトイレットペーパーが挟まったままトイレから出て来ちゃうとか、
そんなことばっかりやってきたのに。
 
実際に業務が始まると、本当に難解だった。
難解をそのまま表現しようものなら、クリエイター失格。
その芯にある大事なことを噛み砕いて、
わかりやすく伝えてあげる。

納得させる表現。
ハッと気付かされる表現。
頭にこびりつく印象的な表現。
 
B2Bの内容を、
わかりやすく表現する方法論はたくさんある。
面白いじゃないか!やってやろう!

そこから怒涛の日々が始まり、
すっかり顔つきだけは広告クリエイターになってきた。


調子に乗って「もみあげ」だけ金髪にしてしまいました


そんな頃、YouTuberと久々に飲んだ。
そこでの会話は昔を思い出すようで、
とても盛り上がった。

テキーラを30杯くらい飲んで、
ふらふらになりながら帰っている最中。

「そういえばYouTube構成作家なんてやってたなあ・・・?」
「ってか、今の仕事もYouTubeを使ったらもっと面白くなるかも???」
なんてことを思った。

そんなぼやきを、翌日から真剣に考え始めた。
 
まず、企業がYouTubeチャンネルを作る。
これはすでに多くの企業がやっていることだ。
 
ただその中身を見てみると、
TVCMなどの格納先になっているだけだったり、
統一感はなくバラバラで、

YouTubeというメディアを使いこなせていない感じ
がしてもったいない気がした。
 
企業からすると、そもそも
TVCMを格納する目的でチャンネルを作っているので、
「そんなことを言われても…」と思うかもしれないが、
YouTubeの文脈でコンテンツを積み上げていけば、
メディアとして無限の可能性が発揮できる。

これは、僕の経験から断言できた。


YouTubeチャンネルをつかう時に意識したいこと


一般的にYouTuberが、
チャンネルを登録してもらうまでには、
いくつかのハードルがあると考えている。
 
そのYouTuberの、
① 顔を知っているかかどうかのハードル
② 名前を知っているかどうかのハードル
③ チャンネル登録のハードル
④ ファンになるハードル
(*ファン:イベントに来たりグッズを買ってくれる人)


参考:YouTubeチャンネル登録までのハードル


 
①と②についてはTikTokやYouTube Shortsを使ってすっ飛ばすのが早い。
とにかくコンテンツを大量投下して、顔と名前を覚えてもらう。
その上で、自身のコンテンツと親和性のあるチャンネルとコラボをして③を回収する。
自身を広く知ってもらうチャンスを得たとき(コラボやコンテンツが当たってバズった時)に、
この人たちなんか見たことあるなという状態を作っておけるかがポイントである。
その上で、本当に興味があると思ってくれた人が自然と④を超えていく。
 
これらを意識した上で、
早速どんなコンテンツを作るか考えていくべきだ。

特に①と②を全部YouTube上でやろうとすると、
時間もお金もかかってしまい、芽が出ないまま、
結果としてプロジェクトをクローズする事になる。
 
続いて、どんなことを配信するかを考える。
ここでのポイントは「プロセス」が見えることだ。
「ホームレス→大富豪」とか
「最弱→最強」とかそんな感じだ。
それが決定すれば、そのストーリーを描いていけばよい。


「B2B企業こそ、YouTubeをつかうべき。」


企業がYouTubeチャンネルをつくるとなったとき、
実はB2C企業よりもB2B企業の方が、有効だと最近思う。
 
例えば、「人材サービス」の企業Aがあったとしたら、
「100日後に起業する大学生」
みたいなチャンネルをつくってみる。
 
大学生が四苦八苦する中で、
一緒に働く仲間を探すようになり、
ハチ公前でYouTuberっぽく仲間探しをしてみたり、
無茶な引き抜きをしてみたりする中で、
人材確保の重要性を知り、難しさを知る。
 
あるタイミングで企業Aのサービスに出会って、
その活用方法やメリットを訴求していったりする。
最終的には、企業Aに転職してしまって、
その後は社員として社内のことを発信していく。
など。
 
B2B企業というのは、企業が企業の成長を支えること。
成長ということは、そこに「プロセス」がある。
ここでいう起業したい大学生というのを、
わかりやすく「プロセスを見せる存在」にできる。
 

このプロセスの観点以外にも、
まだまだ理由はたくさんある。

「B2B企業こそYouTubeをつかうべき」理由を、
改めて整理してみた。

■プロセスを見せやすいから

上記の例でお話しさせていただいた通り、
プロセスだったり過程が見えやすいというのは、
今、重要なYouTube文脈だったりする。

登録者の多いチャンネルのファンを分析してみると、
「企画のファン」よりも「チャンネルのファン」が多かった。

企画のファンは、
企画次第では動画を再生しない。

逆にチャンネルのファンは、
その人がやってるから見たい。
という心理で動画を再生する。

つまり、
チャンネルのファンを多く持った方が、
再生数も安定し、息の長いチャンネルになる。

そして、そのためには、
「プロセス」が見えた方がいい。

思い切り楽しんでいたり、苦労をしていたり、
プロセスによって人格が見えてくると、
企画ではなく人(=チャンネル)にファンができる。

最近では、格闘技の「試合」だけではなく、
そこに至るまでの「オーディション」という過程を
放送する人気コンテンツがYouTubeに登場している。

やはりプロセスが見える化されていた方が、
ちゃんと見てもらえるチャンネルに育つのだと思う。


■企業然とせずにコンテンツを発信できるから


誰かと〇〇することで、
「背中を押される」「ワクワクする」「憧れる」「笑える」…etc

この「誰か」の人格が強く立っていることで、
人の心を動かすことができる。

しかしながら、この人格の出やすさにおいて、
企業というのはそもそもビハインドな状況である。

参考:人格の滲み出やすさ


マス広告では企業としての立場で発信がなされるが、
YouTubeではコンテンツとして割り切った
発信をすることも可能なわけである。

つまり普通の広告では難しい、
人格を滲み出すチャンスがある。

企業のYouTubeチャンネルを、
単純にTVCMの置き場所にするやり方もあるけれど、

コンセプトに沿ったコンテンツを作ることで、
新しい共創関係を生み出すことだってできる。

単なるリーチ獲得だけでなく、
理解促進からファンづくりまでやっていける。
可能性は、どこまでも広がっているのだ。


■ターゲットを選ぶよりも「集める」ことができるメディアだから


B2Bの商品/サービスの内容は、難しいことが多い。
その内容をそのまま話しても、
なかなか理解してもらうのは大変だ。

でもYouTubeチャンネルで
うまく登録者を獲得できていれば、
マス広告よりも理解してもらえる可能性がある。

YouTubeチャンネルというのは、
視聴者を選ぶよりも「集める」ことができるメディア。

ここまで発信したコンテンツに興味をもった人が
登録者(視聴者)になってくれているので、
比較的専門的な話もしやすい。

またそのコンテンツ文脈で説明ができるので、
その内容も理解しやすくなる。

***

以上、簡単なポイントを3つまとめてみた。
これ以外にも細かな要素は存在すると思うけれど、
まず意識すべきはこれらだと思う。

YouTubeをうまくつかえれば、
難解と言われがちなB2B広告の、
新しいやり方が見つかるかもしれない。

そういう意味で、
B2B企業こそYouTubeをつくるべきだし、
もしすでに開設されたチャンネルがあるなら、
思い切って方向転換
or 新しいチャンネルの開設をしてみてはどうだろうか。

そのチャレンジによって、
B2B広告の新しい可能性が切り拓けると、
僕は信じている。


あとがき


最後まで読んでくださって、ありがとうございます🙇‍♂️
 
僕には100万人を超える
YouTuber数グループの構成作家としての知見があり、
既存YouTuberたちへのアクセスも、メディアの文化を知る機会もあります。

せっかく活動の場をこの業界に移したのだから、
どんどん挑戦して、次はYouTuberドリームではなく、
広告クリエイタードリームを掴みたいです。
 
ちなみに僕が思う広告クリエイタードリームというのは、
あらゆる広告賞を総ナメし、
その結果、僕の名前は世界中に轟き、
上司の方々やお世話になっている部署の方々に
「たくみ? あいつは俺が育てたんだよ」と言わしめ、
タワマンの屋上で芸能人に囲まれながらワインを飲み、
ドヤ顔で雑誌のインタビューに答えたりする感じです。
(まあ・・・冗談です(笑))

「YouTubeチャンネルを作ってみたい!」
「YouTubeチャンネルを使いこなせている気がしない」
そんなB2B企業のみなさま!
画期的な先端技術やサービスをお持ちの企業のみなさま!
「いったい誰の構成作家をしてたんだ!」
「なんか面白そうだ!」
と漠然とした興味をお持ちになられたみなさま!

動機はどんなことでも構いません。
YouTube構成作家の知見とアイデアで、
必ずやみなさまのご期待に応えてみせます。

まずは、高級焼肉でランチでもしながら、
シャンパン片手に、ゆっくり話しませんか。
(お会計はもちろん、YouTubeらしく男気じゃんけんですが🙄)


小林 巧実(こばやし たくみ)
2018年に山梨大学を卒業後、ロンドン芸術大学に入学。
その間、国内の100万人を超えるYouTuber数グループの構成作家として活動。
2019年にADK入社。CMプランナーに活動の場を移し、さまざまな表現を開発している。


みんなにも読んでほしいですか?

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